DevelopersSummit2021 心打ち震えるDX事例を世に轟かせたい(星野リゾート、三越伊勢丹・アイムデジタルラボ)
はじめに(強い私情を添えて)
DXという国が掲げ高らかに叫ばれる言葉があるけれど、その実態はぼんやりしていて何のことだかわかりにくい
個人的にこのスライドがかなり腑に落ちて気に入っている
https://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/dx-240495124
DXとは「現実と向き合う」こと
• 「向き合う」
• モダナイゼーション、既存業務のデジタル化、ITの内製化
• シリコンバレーのスタートアップのように働く
• デザイン思考、ユニットエコノミクス、リーンスタートアップ
• コミュニケーション、組織展開、評価制度、人材雇用、etc...
この中でも、(非デジタル企業における)ITの内製化、組織展開が肝だと個人的に感じている
→ 言い換えると、デジタル部門の内製化+アジリティのある組織構築(≒アジャイルな開発チーム)
僕は以前、元請けSIerで働いていたこともあって、そこから連なる多重下請け構造に強く違和感を抱いている
その多重下請け構造が減っていくことこそが国の産業のためになる!とも思っている
管理的側面から多少のレイヤが必要な場面もあるかもしれないけど...基本的には構造ごと無くなって欲しい
そんな日本社会の中において、イイ感じにDXに成功させている企業の名前こそが世に轟いてほしい!
轟いてほしいなぁ〜!ということを昨日デブサミに参加していて思ったので、そんな素晴らしい事例を紹介
旅館運営企業で実現した現場出身者の力を活かしたアジャイル開発
www.slideshare.net
組織
今回の事例を主導し色々な取り組みを統括するPOチーム自体が現場上がりでIT経験ゼロからスタート!
失敗は避けられないものだろうけど、その失敗を踏まえて生まれた取り組みが具体的ですごく良かった
- 投資判断プロセスの仕組み化
- 実施する案件の優先順位付け
- リレーション作りと情報収集・シェア
- 現場の情報収集・整理・シェア
- 現場に役立つ知識は社外のものも
- プロダクトオーナースキルマップと勉強
- プロジェクトで得た経験・学んだ理論を体系化
どれも多くの組織で再現性がある内容なはず
特に最後のスキルの体系化はなかなか難しそうなのに実現できているのは驚きで、どんな内容なのか気になる
こういった内容を時間をとって整理できる(ビジネス判断としてやらせてもらえる)組織はなかなか少ないのでは
ITの内製化
こちらの事例で特徴的なのは現場出身者(あるいは現場)がノーコード/ローコード開発を多用しているところ
エンジニアに頼らず現場の人間が手ずからシステムを開発し保守できるようになり、 なによりその取り組みが組織内に横展開されていくというのはまさに理想的
途中で出てくる「現場出身者の重視」「全スタッフIT人材化」という言葉の素晴らしさには涙が出そうにすらなる
会社への愛着が、困難な課題への挑戦を達成する
これだよ...!!!!!!!
その他
数年前の段階で社内で運用/開発の分断による問題に気づいて、自然とDXに繋げていることがまず驚き
(DXという言葉の浸透より早く物事の本質に迫っているわけで、気軽にDXとまとめてしまうこと自体が心苦しくある)
そういえば僕は私文卒であって、ふにゃふにゃな卒論では観光の話を書き、その中で星野リゾートについて調べたりもしていた
その執筆当時(2016年)とかそれ以前の段階でも「星野リゾートは現場スタッフの声を大事にしている。ボトムアップで業務改善をしてホスピタリティを向上させている」というような話はあった。卒論が残っていたら引用したかった
そうした素地があったからこそ、今回のような成功へ繋がったのかもしれない(我ながらいい文章の結びだ!)
三越伊勢丹が目指すNew Normalの購買スタイル
ITの内製化
先の星野リゾートの例では様々なツールをたくさん作っていたけど、こちらの事例ではドカンと一発リモートショッピング(リモート接客)システム構築の話
リモート接客というサービスそのものの難しさは、それはそれで興味深く面白いんだけど、今回は割愛
今回の話は現場大事にしてるけど言うほど内製関係ないじゃん!と我ながら思うところで、
でもその辺の取り組みは2020年のデブサミでのセッションで触れられているのでそちらを参照
そちらの内容こそ素晴らしいんだけど書いていくのは疲れるので端折る...
組織
何よりも組織運用の熟達に感心!
具体的な構成・運用についてはスライドを見てね
上述した去年のスライドの話もあり経験の蓄積は間違いないと思う
また以前のプロジェクトではアジャイルコーチを他社から招聘しているとのことで、そこが効いたりしているのかも
というところで、上層部を交えての意思決定ミーティング、導入チームとの調整・共有の仕組みが見事
大企業ならではの意思決定の重さを身軽な(アジリティのある)仕組みに取り込めている
しれっと流れたけど、この導入チームという存在そのものもポイントなのではと思っていて、役割としては現場と開発の中間層的な感じっぽい?
今回の事例は単純な「明日からこっちの勤怠管理システム使ってや〜」的なシステム導入ではなく双方向のコミュニケーションが重要なものだからこそ構造として重要になってきそう(債務の委譲)
何より良いと思ったのは「同じものをみて考える」という言葉とそこのスライド
これだけでもPO・開発・現場の連携がよく取れていることが分かる
こういった意識から「機能要求ではなく目的を共有」という取り組みに繋がってくるんだと思う
言うほどまとまってないまとめ
後から気づいたけど、今回の事例はどちらもホスピタリティに重きを置く業界の話だった
DXと謳われるような大きな変革には、直接お客様と接する現場の意識の強さが重要なのかも、とか思ったり
どちらの事例も他の企業がモデルとするのに相応しいもので、広く知れ渡っていけばいいな