慢性鼻炎・鼻中隔弯曲症の手術レポ(鼻のクリニック東京・サージセンター浜松)
はじめに
僕が受けた手術は以下の通り
ここがズレていては以下の文章を読む意味があまりない
- 内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型(骨・軟骨手術)
- いわゆる鼻中隔湾曲症の手術で、軟骨を削るやつ
- 内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型(下鼻甲介手術)
- 詳しくは忘れたけど下鼻甲介(鼻の通気孔の中でも下のやつ)の通りをよくするやつ
- 経鼻腔的翼突管神経切断術
- 今回の話に出てくる病院が売りにしている後鼻神経切断術という神経を切って炎症抑えるやつ
また、以下の文は2021年2月のおける僕の手術の話であって、全員が全員同じ話ではないと思うし、間違っていることを書いているかもしれないということでそこは気をつけてください
鼻のクリニック東京とサージセンター浜松について
この記事を見ている時点で2つの病院のどちらかについては詳しいことだろうと推測するので基本的な話は割愛
鼻のクリニック東京は東京なのもあって割と有名(?)な病院
院内はキレイで未来的。コロナ禍になってからは迅速に無人会計システムが導入されていて組織としての優秀さも感じられた(システム導入って手間かかるし大変だと思う)
で、サージセンター浜松はその鼻のクリニックの前身となる病院となる
そのへんの沿革はこちらに記載されている
https://nose-clinic.jp/aboutus/history.html
後述するが、今回はこのサージセンター浜松側で受けた手術の話
そもそも僕は高校生の時にサージセンターで鼻の粘膜をレーザーで焼くことで一時的に花粉症の症状を抑える手術を受けており、今回の手術はちょっとだけ懐かしさのあるものだった
前提や環境
僕は東京で一人暮らしをしている
物心がついた頃から鼻が詰まっており、左鼻については基本的に常にほぼ閉塞している
頭痛か何かについて調べている時に鼻のクリニック東京の手術を知り、東京で当院を受診することにした
受診の後に東京で手術することもできたけど、手術に際する付添人の調達に難儀したために、実家のある浜松で手術+術後経過をみることに
でも手術に至るまでの診断は東京で実施している
上述の通り、鼻のクリニックとサージセンターは組織的な関連があり、大変ありがたいことにその辺の連携をうまいことやってくれるのであった
人生で初めて浜松という土地に感謝をしたかもしれない!
浜松での手術は1泊2日であり、ビジホみたいな個室に泊まることになる
個室については最後にまとめた
手術前後のフロー(自分の場合)
僕の場合は診察は鼻のクリニック東京で、手術は浜松サージセンターで。とその時点でそこそこイレギュラー
今回はそこから更にコロナ禍で延期となったり大変なことになっている
なので一般に参考になり得るのは手術の前後の話かな
東京で何回か診察したり血液検査した後に浜松にて以下の流れで手術を受けた
- 手術前検査+オリエンテーション(手術2週前)
- 手術直前検査(手術前日)
- 手術(1泊)
- 手術後処理(手術1週間後)
つまり浜松での最初の診断が手術前オリエンテーションになるんだけど、まあコロナ禍のなか東京から来ている人はその感染状況が懸念されるわけで「受診の2週間前から浜松にいるようにしてください!」と指示を受けた
手術前検査
手術前検査+オリエンテーション(手術2週前)、手術直前検査(手術前日)では特に面白い話はないので割愛する
強いて言えば手術前検査にて僕の鼻の炎症がひどかったようで担当医師の方が「こりゃ相当ひどい!」と声をあげていてちょっと嬉しそうだったことくらい
一方その時の僕は「今日の鼻の詰まり具合はいつもよりマシだな」と思っていた...
手術当日
個人病室で病衣に着替え手術室へ向かう
左右対称な廊下の上を見上げると三角の天窓、小さなステンドグラスに金の像が白い壁面に映える
思わぬところで協会のような建築に出くわして自分はこれからどこに向かうのかと不思議な気持ちになった
手術台へ乗ってあれよあれよと計測器と点滴をつけられるとすぐに意識が薄れる
「あれ?麻酔って点滴で入ってます?」という問いは肯定された
矢継ぎ早にマスク状のものを口につけられ、元気な麻酔専門医の方が「酸素ってわかりますか?原子番号が〜」と明朗に謎の問いかけをしてきた
混乱のままに「あ...理系だったけど算数でドロップアウトしたので...(?)」とよくわからない回答を返した記憶を最後に意識がない
多分あれは麻酔で意識が落ちているか確認するための質問だった!
全身麻酔は初めてだったけど、「疲れた状態でベッドに倒れすぐに入眠する気持ちよさ」のクオリティを高いレベルに引き上げたような印象
機会があれば是非またやりたい
手術直後と当日
気がつくと手術は終わりベッドに寝ていて、説明通り鼻にはスポンジやら綿やらがギッシリ詰められている
因みにこれらの詰め物は傷つけた鼻腔用の薬が塗ってあったり、それが出てこないよう固定する目的とのこと
目覚めた時点では気分爽快とはいかないが痛みはなく、鼻の不快感は(その時点では)大してなかった
目覚めて暫くしてからお昼ごはんのお粥
その後の食事でも言えることだが、鼻が完全に閉塞していても食事の味が感じられることに驚いた
手術前に他の人の体験談を見ているところによると無味に苦しんでいる様子だったが自分はそんなことなかった
その前だか後だかに手術で何をしたか・どうなったかの説明の時間
今回の手術で行ってくれたことを一生懸命教えてくれた
「ここは軟骨を削りました!」「ここが神経を焼き切ったとこです!」などなど
自分の鼻の内部の写真(手術前との比較付き!)で面白かったのでデータとして貰いたいくらいだったが、この時には軽口を叩く元気はなかった
因みに僕個人の話でいうと、鼻の最奥部の辺りであまりに炎症を起こしすぎて粘膜がポリープ(隆起性病変。イボみたいなの)化している箇所があったため、そこは切断(!)して病理検査に出すとのことだった
※ 結果から言ってしまうと悪性腫瘍とかではなかったみたいだけど、そんなものが疑われるレアケースになるほど酷い状況だったらしい
手術後からその夕くらいまではガーゼやスポンジ越しでも鼻腔に流れる冷たい空気に対して呑気に感動できるほどだった
しかし夕くらいからは手術で傷ついた鼻に対する身体の働きで発熱が始まり、そこからちょっと辛くなってくる
寒気もしてベッドの上から出る元気は当然ない
これ以降、一週間後の術後処理まで鼻はほぼ完全に閉塞する
起きている間はベッドに入りながらAmazonPrimeVideoを見ていた
本やノートPCを持ってきていたが能動的に何かをする体力はなかった
あと意外にも全身麻酔が切れてからも特に痛みは感じなかった
きっと担当医師の方の腕が良かったんだろう!
手術後から1週間
一泊の入院はすぐに終わり会計の後に退院
手術翌日から1, 2日程は(平熱36.5度に対して)37.1度くらいの微熱が出ていた
数字だけ見ると軽いものだが、体感的にはインフルエンザで38度後半が出ている時くらいのクラクラ度合いだった
発熱がある間の労働はかなり無理があると思う
在宅でのデスクワークすら普段どおりは無理かなという印象だったので極力避けたほうがいい
座っているのが辛いし、会話するのも更に辛い
でも2時間ベッドの上に座ってノートPCを触るくらいはできるかな
熱が引いてくる頃には、(閉塞した鼻の代わりに行っている)口呼吸のせいか口腔が荒れ始めた
飲み込む動作を行う時に擦れ合う粘膜が乾燥している(?)のか、間隔を空けてそうした行為をするとジワリと痛む
それに対して一番いいのは頻繁に水を飲むこと。マスクを付けると良いけど呼吸がしにくくて夜は辛い
加湿器を買っておくべきだった
龍角散ダイレクトとトローチのドーナツみたいなのを服用したらどっちかが効いたのか割とマシになった
また、口腔の荒れと同時期くらいから鼻水も出るようになり鼻の閉塞具合はより一層高まった
鼻に詰め込まれたスポンジやらガーゼだけならごく僅かに空気が通っていたようだが、鼻水もとい液体で蓋がされると完全に疎通が取れない
そのせいか鼻のあたりに常に圧(?)の高まりを感じるようになってこれが辛い
頭が鼻から圧迫されるような、鼻が重いような感覚に苦しまされる
更に飲み込む動作を行う時に口腔から空気の逃げ場がなくなりエレベータや飛行機を利用したときのように耳がツーンとなる
大したことはないように思えるけどこれが飲み込む動作の度に発生するから煩わしい
そんなこんなで手術翌日から4日目以降は睡眠時に息苦しさから眠れないようになり、これが一番堪えた
寝る際にも当然口呼吸しか出来ないのでそうするが、息苦しさから窒息しそうになり寝るどころではない
それまでは24時頃に寝ようとしてすぐ寝られていたがこの時期になると27, 8時頃になるまで寝付けなくなっていた
それくらいの時間を超えると身体が疲労の限界を迎えるのかいつの間にか寝られていた
手術後処理(手術1週間後)
陰鬱とした一週間を乗り越え、遂に鼻の詰め物を取る時が来た!
が結論から言うと、今回の手術前後において瞬間最大風速的にはこの日が一番消耗することになる
術後処理は以下の手順によって1時間程で行われた
- 1回目
- 鼻から詰め物を抜く(麻酔なし)
- 麻酔の染みたガーゼを詰め込む
- 2回目
- 麻酔の染みたガーゼを抜く
- 鼻から詰め物を抜く(麻酔無しの1回目で取り切れない奥の方のモノ)
- 血止めかなんかの目的でガーゼ?を入れる
- 3回目
- ガーゼ?を抜く
- 薬みたいなの塗布したり詰める(ここで詰めるものは圧迫感や不快感のあるものではない)
鼻から詰め物を取る苦しみは想像に難くないというか、想像したまま
鼻から巨大な異物がドロリと取り出されることで、ツーンとした軽い痛みと不快感を何度もÍ味わう
全部取れた?!と思ったら今度は麻酔の染みたガーゼを詰め込まれる
1回で抜いて終わりじゃないのかよ!という衝撃もなかなかだが、ここで詰め込まれるガーゼの量が相当で手品の道具になった気分だった
後で抜かれたガーゼを見ると(ある程度濡れて圧縮された状態で)成人男性の手の薬指くらいだった気がした
この時点でかなり消耗しているが2回目がある
麻酔が効いてきた頃に2回目の呼び出しがあり、さっきのガーゼを取ったあとで奥の方の詰め物を抜く
麻酔ありなら痛くないのでは?と思いきや、麻酔が効いた状態でも1回目の詰め物除去より辛いくらいだった
人間の当然ながら鼻の穴は2つあり、右側の処置で感じた苦しみは左側でも再び感じる羽目になる
明白であるこの事実は処置中の僕を大変怯えさせた
いっそ全身麻酔でやってほしかった(楽しいし)
3回目の処置は(もうここまで来ると)大して辛くはないが、ここまでで既に相当グロッキー状態な上に「術後経過よろしくないからまた詰め物するね〜」なんて言われたらどうしよう!という心配でフラフラ
結果的にここで処置は終わり、以降鼻から空気が吸えるようになった!
でも鼻をかんだりすすったりしないでね。とのことでそこはまだ様子見になる
結局この1回目と2回目で抜いた詰め物(ガーゼを除く)が、当初の全身麻酔中に鼻の中に詰め込まれていた物体の量になるんだけど、うろ覚えながらそれらの内訳はこんな感じ(片側のみでの数字を記載)
記念にこれらの写真を撮らせてとお願いしてみたけどダメとのことで残念
- 成人男性の手の子指まるまる1本くらいのスポンジ*1
- 7mm3cmくらいのスポンジ4くらい?(辛くて数えられなかった)
術後の感動と所感
詰め物を取る処置の後、詰め物による鼻の圧迫感がなくなったことより先に気づいたことがある
それは鼻呼吸を意識しなくても自然と鼻腔に空気が流れ込むこと
鼻腔に空気がしっかり流れることはこれまでの人生でなかったことであり、呼吸の度に鼻腔で感じる空気の冷たさに驚くことになる(慣れるけど)
感動は食事の時間にも訪れる
咀嚼した食べ物の匂いが(人生で初めて)口から鼻に抜けるようになり、風味という概念のプレゼンスが段違いになった
手術前、食べ物の風味というものは外気として鼻から吸気して認識するものだと思いこんでいたがそうではなかったらしい
バジルソーセージのバジルの風味に打ち震えた
今まで自分が食べてきたものを全て食べ直さないといけない
そして起床時も睡眠時も鼻呼吸ができるようになって心底喜ばしい
手術を経て、人生で初めて自分の鼻が正しく鼻として機能するようになったことを自覚した
この手術を受けるべきか否かというと間違いなく受けるべきだと思う
僕はITSの恩恵で手術費用約30万のところを自費2万円のみで受けられたが、自費で30万円でも確実に後悔はしていない
もっというなら小学生くらいの段階で受けるべきだったし、人生で無駄にしてきた時間はあまりに長すぎた
僕と同程度に鼻呼吸ができない人間がいるなら間違いなくこの手術を勧める
付録:サージセンター浜松での入院時や退院時に備え準備しておくとよいもの
入院時の個室の情報(病院から言われてない内容など)
- 特に困ることはなかった
- それこそビジホみたいにだいたい揃ってる
- 洗面タオルや着替え下着を持ってくるよう書いてあったが着替えることはなかった
- ★机の下に加湿器があるのでちゃんと使おう!
- 付けてほしかった!というのは贅沢?
- ご飯はわりと美味しい
- 肉じゃがが良かった
- ベッドは割と硬い
- ちょっとだけ疲れる
- 枕持参とかする人はいそう
- WiFiはないと言われていたが、LANポートはあった
- テレビ
- あるけど僕は見なかった
- DVDで映画とかもちょっとある
- 邦画, 洋画, その他, 子供向けで8本ずつくらいだったかな
- しかしながら手術後に長時間の映画を見る体力はあるとは思えない
退院時にあるといいもの
- 加湿器
- 枕元の飲み物
- 高級なやわらかティッシュ
- 鼻水をかんだりはできないけど、血を拭うときなど用
- 術後処置の後も暫くは高級なティッシュでいたわりたい
- 龍角散ダイレクト
- 寝ながら暇を潰せる仕組み
- モニタとかテレビとかタブレットとかそういうの
- 有給
綿球とかガーゼは退院時にくれたので要らなかった